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プロジェクト初期にこそ大事な「認識のすり合わせ」

2025.02.08

はじめに

「思っていたものと違った」

「そこまでお願いしたつもりはなかった」

「これは誰がやる予定だったのか?」

Web制作の現場では、こうした“認識のズレ”によるトラブルが、意外と多く発生します。

その多くは、プロジェクト初期の「すり合わせ不足」に起因しているのが実情です。

この記事では、20年以上の現場経験をもとに、私たちが実践している「認識のズレを防ぐ進め方」をご紹介します。

なぜ“認識のズレ”は起きてしまうのか?

プロジェクトに関わるメンバーは、それぞれ立場や専門領域が異なります。

とくに、次のような点で認識の違いが生じやすくなります。

  • 専門用語や技術的な知識の差
  • 言葉の解釈の違い(例:「簡単なアニメーション」の意味のズレ)
  • 担当者ごとのITリテラシーの幅
  • 「資料を共有した=内容が伝わった」と思い込んでしまうこと

こうしたズレは、プロジェクト後半で顕在化することが多く、手戻りや信頼の低下につながりかねません。

すり合わせの鍵は「プロジェクト初期」にある

認識のズレを防ぐためには、プロジェクト開始前後の「すり合わせの精度」が重要です。

  • キックオフの段階で、しっかりと認識を共有する
  • 「前提条件」を一つずつ明確にし、曖昧な点を洗い出す
  • 相手の理解度に応じて、説明の深さや方法を調整する

たとえば、MovableTypeのようなCMSで構築する場合には、

「どの部分が管理画面から更新可能か」や

「どの要素がテンプレートとして固定されるか」といった、

細部にわたる仕様の共有が非常に重要です。

現場で実践している、すり合わせの進め方

共通言語化の工夫

口頭説明だけでは伝わりにくい内容については、図やワイヤーフレームを活用して視覚化します。

画面設計や導線、UIのイメージを共有するうえで非常に効果的です。

「わからないまま進めない」空気づくり

「質問してもよい」「確認して大丈夫」という心理的安全性の確保も大切にしています。

発注者の中には、「こんな初歩的なことを聞いてもいいのだろうか」と遠慮される方も少なくありません。

そのため、私たちはプロジェクト初期に「どんなことでも気軽にご質問ください」とお伝えするようにしています。

担当範囲の明文化

「これは誰が担当するのか?」というグレーゾーンをなくすため、

ディレクション・デザイン・実装・更新作業といった各工程の、

役割と対応範囲を文書で明確化しておきます。

一緒に進めるパートナーとしての姿勢

私たちは、単なる「外注先」ではなく、プロジェクトを共に形にしていくパートナーでありたいと考えています。

  • クライアントの立場と、ユーザーの視点の双方を大切にする
  • 「任せきり」ではなく、「一緒に考える」スタンスをとる
  • 細やかなコミュニケーションを惜しまない

このような姿勢が、最終的に「またお願いしたい」と思っていただける関係につながると信じています。

おわりに

プロジェクトの進行において、“すり合わせ”は初期段階が最も重要です。

認識のズレは、最初に丁寧に向き合うことで、大部分を未然に防ぐことができます。

もし現在、進行中のプロジェクトに不安を感じている方がいらっしゃれば、ぜひ一度ご相談ください。