はじめに
「思っていたものと違った」
「そこまでお願いしたつもりはなかった」
「これは誰がやる予定だったのか?」
Web制作の現場では、こうした“認識のズレ”によるトラブルが、意外と多く発生します。
その多くは、プロジェクト初期の「すり合わせ不足」に起因しているのが実情です。
この記事では、20年以上の現場経験をもとに、私たちが実践している「認識のズレを防ぐ進め方」をご紹介します。
なぜ“認識のズレ”は起きてしまうのか?
プロジェクトに関わるメンバーは、それぞれ立場や専門領域が異なります。
とくに、次のような点で認識の違いが生じやすくなります。
- 専門用語や技術的な知識の差
- 言葉の解釈の違い(例:「簡単なアニメーション」の意味のズレ)
- 担当者ごとのITリテラシーの幅
- 「資料を共有した=内容が伝わった」と思い込んでしまうこと
こうしたズレは、プロジェクト後半で顕在化することが多く、手戻りや信頼の低下につながりかねません。
すり合わせの鍵は「プロジェクト初期」にある
認識のズレを防ぐためには、プロジェクト開始前後の「すり合わせの精度」が重要です。
- キックオフの段階で、しっかりと認識を共有する
- 「前提条件」を一つずつ明確にし、曖昧な点を洗い出す
- 相手の理解度に応じて、説明の深さや方法を調整する
たとえば、MovableTypeのようなCMSで構築する場合には、
「どの部分が管理画面から更新可能か」や
「どの要素がテンプレートとして固定されるか」といった、
細部にわたる仕様の共有が非常に重要です。
現場で実践している、すり合わせの進め方
共通言語化の工夫
口頭説明だけでは伝わりにくい内容については、図やワイヤーフレームを活用して視覚化します。
画面設計や導線、UIのイメージを共有するうえで非常に効果的です。
「わからないまま進めない」空気づくり
「質問してもよい」「確認して大丈夫」という心理的安全性の確保も大切にしています。
発注者の中には、「こんな初歩的なことを聞いてもいいのだろうか」と遠慮される方も少なくありません。
そのため、私たちはプロジェクト初期に「どんなことでも気軽にご質問ください」とお伝えするようにしています。
担当範囲の明文化
「これは誰が担当するのか?」というグレーゾーンをなくすため、
ディレクション・デザイン・実装・更新作業といった各工程の、
役割と対応範囲を文書で明確化しておきます。
一緒に進めるパートナーとしての姿勢
私たちは、単なる「外注先」ではなく、プロジェクトを共に形にしていくパートナーでありたいと考えています。
- クライアントの立場と、ユーザーの視点の双方を大切にする
- 「任せきり」ではなく、「一緒に考える」スタンスをとる
- 細やかなコミュニケーションを惜しまない
このような姿勢が、最終的に「またお願いしたい」と思っていただける関係につながると信じています。
おわりに
プロジェクトの進行において、“すり合わせ”は初期段階が最も重要です。
認識のズレは、最初に丁寧に向き合うことで、大部分を未然に防ぐことができます。
もし現在、進行中のプロジェクトに不安を感じている方がいらっしゃれば、ぜひ一度ご相談ください。